敦賀の手すきおぼろ昆布は全国有数の生産量を誇る。原料の昆布を食酢で湿めらせ柔らかくし、包丁で削り出す。向こう側が透けるほど薄く、職人達の伝統技術によって作られている。敦賀は昔から北前船の寄港地として栄え、集積された物資の中で代表的なのが昆布。北海道の昆布は、熟練の職人達により加工され、敦賀特産の昆布として再び上方へ運ばれていた。米どころ福井のご飯に、ふんわりしたおぼろ昆布をかけたおにぎりはとっても美味。お吸い物に加えたり、巻き寿司に昆布を巻いたり、様々な料理を引き立てる。
旬 6月 7月 8月
おぼろこんぶは、乾燥させたこんぶを酢に漬けて柔らかくし、手作業で薄く削った食品です。その厚さは約0.01mmで、透明感があります。その製造には高度な技術が必要です。口に入れると溶けるような食感で、後味にはうま味と酸味の余韻が残ります。現在、おぼろこんぶの大半は福井県の敦賀市で生産されています。
しばしば「とろろこんぶ」と混同されますが、おぼろこんぶは手作業で一枚のこんぶから削り出されるのに対し、とろろこんぶは複数のこんぶを圧縮してから機械で削られる点が異なります。
【歴史・文化、関連行事】
こんぶは古くから薬としても使われ、平安時代には特権階級の食べ物でしたが、中世以降は一般に広まりました。江戸時代の敦賀は北前船の寄港地であり、こんぶは重要な商品でした。北海道から運ばれたこんぶが敦賀で加工され、京都へ運ばれる「こんぶロード」がありました。この歴史から、敦賀には今でもこんぶの加工産業が栄えています。
【製造方法】
乾燥したこんぶを酢に漬け、一晩から数週間置きます。酢はこんぶの風味を引き出し、柔らかくします。柔らかくなったこんぶを押さえ、専用の包丁で薄く削ります。削った後に残る白い部分は「白板こんぶ」と呼ばれ、サバ寿司などに使われます。波状の模様が出るほど薄く削られているとされます。
主な伝承地域:嶺南(敦賀市)