福井県 » 敦賀・小浜・若狭

三方五湖

(みかたごこ)

福井県美浜町と若狭町にまたがる三方五湖は、三方湖、水月湖、菅湖、久々子湖、日向湖の5つの湖からなる、若狭湾国定公園の代表的な景勝地です。

この湖は古くから万葉集にも詠まれ、四季折々の美しさが広く知られています。

国の名勝に指定され、国際的に重要な湿地として、ラムサール条約に登録されています。

三方湖・水月湖・菅湖・日向湖・久々子湖の五つの湖は、それぞれ淡水・海水・汽水の性質を持ち、異なる水質を特徴としています。久々子湖は直接日本海につながり、菅湖や水月湖では海水と淡水の比率が異なります。

そのため、さまざまな魚が生息しており、淡水魚から海水魚まで見ることができます。

また、水鳥の重要な生息地でもあり、冬には1万羽以上の水鳥が越冬し、オオワシやオジロワシなどが飛来します。

5つの湖の水質や水深が異なり、それぞれが異なる濃淡の青色をしているため、「五色の湖」として知られています。

湖の周辺には、縄文時代の遺跡である鳥浜貝塚をはじめとする貴重な遺跡が存在しています。当時の人々にとって、湖・森・海が身近な環境であり、生活の豊かな場所でした。また、2012年には水月湖の「年稿」が世界の年代測定の「標準時」として認められました。

三方五湖は、かつて海岸から遠く離れた内陸に存在していた湖です。第4氷河期が終わり、縄文時代前期になると海水面が上昇し、久々子湖は大きな入り江となりました。その後、耳川が運んだ土砂によって入り江の入口が塞がれ、湖は潟湖となりました。他の湖は約50万年前に三方断層の沈殿部にできた断層湖と考えられています。

全長11.2kmの県道三方五湖レインボーライン線から、湖々の違いをよく感じることができ、五つの湖と日本海の壮大な景観を楽しむことができます。周辺には広大な梅畑が広がっており、若狭広域農道は「若狭梅街道」とも呼ばれています。

三方湖

周囲9.6km、最大水深5.8m、面積3.58km²の完全淡水湖です。コイ、フナ、モロコ、エビ、ウナギなどが捕れます。冬から春にかけては伝統漁法の「たたき網漁」が行われます。

日本列島の気候や植生の変化を何万年もの間記録しており、日本海の海洋環境の変化も湖底に記録されています。湖底の堆積物からは花粉や珪藻などの微化石が検出され、過去7万年間の情報が保管されていることがわかっています。また、冬季には三方湖でたたき網漁が行われています。

水月湖

囲10.80km、最大水深34.0m、面積4.18km²で、三方湖とは瀬戸口で接続し、久々子湖とは浦見川の掘割りでつながっています。

湖底には7万年分の連続した「年縞」が堆積しています。年縞堆積物は過去7万年間の年代測定に利用され、重要な時計としての役割を果たしています。

海水と真水の半々の汽水湖であり、二重底の湖であり、上層は淡水であり下層は硫化水素を含む無酸素の汽水となっています。水路工事により、淡水は三方湖から、汽水は久々子湖から流れ込むようになりました。そのため、重い汽水は湖底に滞留し、表面の淡水とは混ざり合わずに残ります。

これにより、湖底の汽水は無酸素状態となり、硫酸塩還元細菌による呼吸活動によって硫化水素が生成されます。一方、湖の上層では酸素を含んだ淡水と光合成細菌が生息し、特に光の強度が高い上限付近には緑色硫黄細菌が密集しています。

菅湖

周囲4.2km、最大水深13.0m、面積0.91km²で、水月湖と同様に汽水湖です。周辺ではオジロワシやオオワシ、カモ類など多くの野鳥が観察されます。

久々子湖

周囲7.10km、最大水深2.5m、面積1.40km²で、南北に長い湖で海に接しています。満潮時には日本海から海水が逆流する汽水湖であり、かつてはシジミ漁が盛んでした。

日向湖

周囲4.0km、最大水深38.5m、面積0.92km²で、湖口が日本海につながっている完全な塩水湖です。魚類は海の生物であり、クロダイ、アジ、イワシなどが捕れます。釣堀もあり、多くの釣り客が訪れます。毎年1月の第3日曜日には日向橋での水中綱引きが行われ、無形民俗文化財に指定されています。

魚と漁業

三方五湖は日本農業遺産として持続的な漁業文化が認定されました。「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 - 御食国若狭と鯖街道 -」の一部として日本遺産に認定されました。

三方五湖では、コイ、フナ、ボラ、ウナギ、エビ、ワカサギ、タモロコ、イチモンジタナゴ、ウルメイワシ、ハスなどの魚が生息しており、釣りも楽しめます。

また、野鳥の観察地としても知られており、マガモ、カルガモ、キンクロハジロ、ホシハジロなどのカモ類が数千羽確認されています。

湖や周辺にはヨシ、マコモ、ヒシの群落があり、ミサゴやオオワシ、オジロワシなどの猛禽類も見られます。

漁業としては、ウナギ漁が特に象徴的です。夏季には三方五湖全域でウナギの筒漁が行われます。江戸時代からウナギはこの地域の名物として知られ、本草学の書物では三方五湖産のウナギが脂の乗りが良いと称賛され、「京都で一番美味な鰻」と評されています。

また、シジミ漁も行われています。4月から11月にかけて、久々子湖を中心にシジミが漁獲されます。久々子湖や浦見川、水月湖、菅湖などでも漁獲されるヤマトシジミは、泥が少なくさっぱりとした味わいが特徴です。縄文時代の鳥浜貝塚からもヤマトシジミが発掘されており、江戸時代にはシジミの貝殻が製塩に使用されていました。

スズキも多く生息しており、春から秋にかけて日本海から遡上し、水月湖や菅湖で延縄漁によって漁獲されます。かつては献上品としても重要な魚でしたが、現在は市場での需要が低く、漁師メシとして消費されることがほとんどです。

他にも春から秋にかけて、日向湖を除く三方五湖全域でテナガエビが漁獲されます。柴漬け漁が行われ、漁師メシとして利用されます。

冬にはボラが漁獲されます。19世紀の水産統計によれば、三方五湖で最も生産量や売上高の大きな魚介類はボラでした。しかし、現在は市場での価値が低いため、漁師メシとして消費されることが一般的です。

さらに、冬季にはフナの漁獲も行われます。三方湖、水月湖、菅湖ではたたき網漁や刺し網漁が行われ、かつては福井県外にも出荷されていました。フナは三方地域の名物とされ、古くから食材として親しまれています。

三方五湖周辺にはヒシが自生しており、古くから食材として利用されてきました。江戸時代には田畑のない家庭の食料源として重要視されていました。ヒシの繁茂を抑えるため、計画的に刈り取られることもあります。

三方五湖レインボーライン

三方五湖周辺の山地に位置し、三方五湖や日本海の美しい景色を楽しむことができる観光道路です。三方五湖と日本海の壮大な景色を眺めながら、ドライブを楽しめます。

1968年に有料道路として開通しましたが、2022年に無料開放されました。また、三方五湖周辺には休憩施設として道の駅三方五湖(国道162号)、五湖の駅(国道27号)、三方五湖パーキングエリア(舞鶴若狭自動車道)などがあります。

レインボーライン山頂公園

梅丈岳の山頂にある非常に広大な公園で、展望台、リフトやケーブルカー、バラ園、恋人の聖地の碑、誓いの鍵、天狗堂の瓦投げ、和合神社、野外彫刻、五木の園、友好の鐘、めだか村、カブトムシの館、梅丈岳の安全地蔵尊、レストハウスなど、見どころが満載です。さらに、レストランなどで食事も楽しめます。

展望台は、美浜町に広がる三方五湖の全ての湖を一望できる絶景スポットです。東西南北、どの方角からでも日本海と三方五湖を見ることができます。

5つのテラスが設置され、足湯やソファなど、さまざまなスタイルで景色を楽しむことができます。

車で梅丈岳の中腹まで登ることができ、そして、第一駐車場より上はリフトを利用できます。リフトやケーブルカーで登った先にレインボーライン山頂公園があります。

三方五湖周遊道路

日本の道100選にも選ばれています。この道路は、菅・三方・水月の3つの湖の湖岸を巡る全長23kmの道路です。西側の10kmは国道162号と福井県道216号常神三方線で2車線の道路となっており、東側の13kmは若狭町道として整備された自然遊歩道となっています。この道路を通ることで、美しい湖の風景を楽しみながら散策することができます。

Information

名称
三方五湖
(みかたごこ)
リンク
公式サイト
住所
福井県三方上中郡若狭町~美浜町
電話番号
0770-32-0222
料金

無料

アクセス

舞鶴若狭自動車道 若狭美浜ICより車で約20分

敦賀・小浜・若狭

福井県