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松岡軒

(まつおかけん)

絹のようになめらかな羽二重餅

羽二重餅の発祥として知られるのが、明治30年(1897年)から続く老舗「松岡軒」です。

羽二重餅の材料は福井など国内産の餅粉と北海道産のビートグラニュー糖、水飴のみのシンプルな材料を使います。

保存料などは一切使用せず、昔ながらの手法で作られており、柔らかくさっぱりとした甘さに仕上げています。

松岡軒では代々「配合だけは変えてはいけない」と言い伝えられ、創業当時から守り続けている伝統の味は、現在でも変わることなく愛されています。

羽二重餅は真っ白でつややかな見た目が絹織物そのものであり、口に入れるとやわらかくほどけていく感触と上品な味わいが特徴です。

創業者の初代・淡島さんは、松岡軒を営む前は織物屋を経営していました。しかし、当時の繊維業は不安定でしたので、2代目は店を継がず、初代の営んでいた織物屋の絹織物をお菓子で表現することに挑戦しました。

初代淡島さんは、東京で10年間の修行を積んだ後、地元福井で「松岡軒」としてお店を開きました。

明治38年にふわりとなめらかな手触りの高級絹織物「羽二重織」を見事にお菓子で表現し、「羽二重餅」と名付けました。これが羽二重餅の始まりです。

福井は長い歴史を持つ繊維産業の盛んな地域であり、約1200年前から絹織物が作られていました。

羽二重餅の由来となった福井の絹織物「羽二重」とは、糸に撚りをかけずに経糸と緯糸を織り上げた「平織物」のことで、その滑らかな肌触りから全国で愛用されていました。

松岡軒の創業者である淡島恒氏の実家は羽二重織物を扱う織物屋でしたが、繊維産業の変化により和菓子の世界へと転身しました。

東京の和菓子屋で修行を積んだ後、地元福井で「松岡軒」として店を開くことになりました。

淡島氏は松岡軒でどんな名物を提供しようか考えていた時、家業であった羽二重織物のことが思い浮かびました。

織物業とのつながりを残しながら、羽二重のような滑らかさを追求した商品を開発し、「羽二重餅」と名付けました。

羽二重織は、ふわりとやわらかく手触りが特徴の絹織物で、明治中期から大正時代にかけて福井で盛んに生産されました。

羽二重餅が誕生した時期は、羽二重織の輸出が全盛期でした。羽二重餅は織物屋や商社から羽二重織にちなんだ良いお土産と大変喜ばれ、その評判は全国に広まりました。

それ以来、郷土の誇りを胸に羽二重餅は多くの菓子店で製造・販売され、福井の名物となりました。

店内では、定番の羽二重餅のほかにも、羽二重餅がサンドされた「どら焼」や、サクサクの最中と餡子の組み合わせが絶妙な「羽二重もなか」など、手土産にぴったりの羽二重餅のお菓子が販売されています。各商品は1個から購入できるほか、詰め合わせもあります。

併設の和カフェでは、羽二重餅はもちろん、羽二重餅入りの「抹茶パフェ」や、羽二重餅が巻かれた「どら焼きロール」など、アレンジされたスイーツも楽しむことができます。

また、夏季限定で松岡軒名物のかんなびきの「手かき氷」も提供されています。地元の氷屋から仕入れた純度の高い氷を鉋で削り、その上に羽二重餅や小豆をのせて抹茶をかけます。このかき氷は氷の粒が大きくシャリシャリしており、長い間楽しむことができます。羽二重餅の繊細な食感と氷のシャリシャリ感が絶妙に組み合わさり、やみつきになる美味しさです。

松岡軒の羽二重餅の主原料は、京都丹波産と福井産の餅米をブレンドして使用しています。餅粉は、京都丹波・亀岡産のもち米と地元福井のコシヒカリを独自にブレンドして挽いたものを使っています。

亀岡の地で育った米粉は力強くコシがあるため、羽二重餅に最適です。また、松岡軒の羽二重餅は添加物を一切使用していません。

羽二重餅のなめらかな口溶けは、職人たちの丁寧な仕事の賜物です。餅粉と水を合わせて短時間で蒸し上げた後、攪拌機に移してグラニュー糖と水飴を加え、1時間以上かけて練り上げ、薄くのばします。

微妙な火入れや湿度の違いによって仕上がりが変わる羽二重餅は、職人たちの丁寧な作業によって日々作り出されています。

Information

名称
松岡軒
(まつおかけん)
リンク
公式サイト
住所
福井県福井市中央3-5-19
電話番号
0776-22-4400
営業時間

9:00〜18:00

定休日

年末年始

アクセス

JR福井駅より徒歩8分

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