羽二重餅は、米・砂糖・水飴というたった三つの材料で作る菓子。ひらひらとしたしなやかな質感で、ほんのりとした甘さが特徴である。餅粉を蒸し、砂糖・水飴を加えて練り上げた、福井県の和菓子。名前の由来の「羽二重」とは日本を代表する伝統的な絹織物のこと。平織りと呼ばれる経糸と緯糸を交互に交差させる織り方で織られ、織機の筬の一羽に経糸を2本通すことからこの名が付いた。最高級の絹織物であり、軽くて柔らかな肌触りと上品な光沢が特徴である。江戸時代から福井県周辺地域の主な産業は繊維業であった。福井では明治初期ごろから羽二重の生産が本格化していったが、欧米に向けて輸出され、一般の人達が上質の羽二重を目にする機会はほとんどなかったそうである。そんな名産品の羽二重を彷彿とさせるような土産物を作ろうと、色合い、風合いに似せた和菓子として誕生したのが羽二重餅。明治30年(1897年)に創業した「松岡軒」が羽二重餅の発祥とも言われ、明治38年の発売して以来、福井を代表する銘菓として親しまれている。今では求肥菓子の代名詞として福井のみならず全国各地、日本国外においても製造販売されている。